ART DOCUMENTARY PROGRAM
スカパー! Ch.529にて放送中
2020.11.21(土) 21:00-21:45 放送
(スカパー! Ch.529)
闇からうすぼんやりと浮かび上がってくる何か…目を凝らしてみると見えてくるそれはギリシア彫刻のように絡みあった肉体、というオープニング。
そこから観客をしっかりつかむ作品でした。
そんな様子もしっかりと感じられる映像。
COVID19禍の中、実現するのかな、どうなのかな、と観客が思っていた公演でもあります。客席はまだ半数の頃でしたが、舞台を見られる喜び、それがCORVUSであるということで客席に開演前から独特の熱量が感じられた現場でした。
身体は時代と共に生きているもの、以前の東日本大震災で身体と言葉がつながったという経験を持つCORVUSの鯨井謙太郒、定方まことは「誰がみていなくてもやる」という存在の公演だったと語っています。そんな地に足の着いた、というか肝の座ったどっしりとした作品。
ダンスの映像化は実はとても難しいのですが、こちらの映像も想像以上でした。
つまり、舞台で見た時の身体や作品の重量感が感じられる、さらに加えられたテロップがダンスの「どこを見ていいか分からない」という人(どこを見てもいいんです!と言いたくなりますが)にはロッククライミングの足場を知らせているような作りも見事。
多くの視聴者は映像だけを見ることになるのでしょうが、あの舞台の魅力がしっかり伝わってきます。
また、私のような立ち会った観客にとっても距離によって見えなかった細部や、自分のその時の視線とは違う角度から映像ならではのダンスを楽しめるのも魅力的です。
ダンスの「生々しい」身体はこのCOVID19によって必要とされるようになった「フィジカル・ディスタンス」とある意味真逆の感覚。
そんな事も感じさせる作品でした。
とても簡単にまとめてしまうと「意識と身体のギャップを埋め、言葉または音楽の力を全身の動きに変換する」という二人が踊ってきたオイリュトミーの「ネオ」を目指したというこの作品、「ネオ」の姿がどのようなものになるのか、次作もその先も楽しみになる作品でもあります。
タイトル『喉』は映像をご覧になるとあぁ、と納得できるはず。CORVUSの魅力的な身体とそこから生み出されるダンス、是非ご体感ください。
LIVE! EDGE #14 / 2020.11.21