ART DOCUMENTARY PROGRAM
スカパー! Ch.529にて放送中
2023.04.29(祝)
08:00- 放送
(スカパー! 529ch)
堀田季何は、時空の彼方から現れた。いや、堀田季何の詩歌において、過去と未来が現在と衝突する時空が開けていくと言うべきだろうか。
エズラ・パウンドが俳句から想を得て、20世紀、英語圏のモダニズムの先駆となったイマジスム運動を展開したように、俳句は前衛的な要素を孕んでいる。わずか17音の短詩のなかで異質なものが衝突し、新たな情趣を生成させる「二物衝撃」、それはシュルレアリスムにも通底するものだが、堀田季何は、さらに目覚ましい方法で「不易流行」という俳句の伝統じたいを刷新しようとしているかのようだ。人間の業や性を、愚かさを不易のものとしてとらえ、さらには世界の事件を同時代性のうちにとらえることで、未知の短詩としての俳句が姿を現す。
なぜ、堀田季何のような作家が生まれたのか。
本名も勤務先も非公開であり、作品だけにすべてを語らせようとする、その姿勢は、私たちが安易な答えを見つけようとすることを許してはくれない。しかし、「Edge 堀田季何篇」は、その手がかりを与えてくれるだろう。番組は沖縄での吟行を中心に展開される。なぜ、沖縄なのか。そこに堀田季何の世界観の秘密の一端を垣間見ることができる。そして、琉球の始祖、アマミキヨが降臨したとされる琉球王国以来の聖地、久高島で俳人は何を感じたのか。誰も見たことのない俳句の地平が開けていく。
EDGE 1 #39 / 2023.04.29