ART DOCUMENTARY PROGRAM
スカパー! Ch.529にて放送中
ジャック・ケルアック、アレン・ギンズバーグらビートニク詩人に先駆者として崇敬されてきた、一九三〇年生まれのアメリカの詩人ゲーリー・スナイダー。少年の頃のスナイダーはアメリカの西海岸に生まれ育ち、山登りや自然を愛する少年であった。だが、あるとき中国の山水画に出会って、「東洋人は山や自然をわたしたちより正しく認識している」と考えるにいたった。スナイダーは1956年、26歳のときに来日して京都で仏教や禅を学び、トカラ列島でコミューンを作って十年余を日本で過ごした。その後は帰米して西海岸の禅の指導者となった。
本作は、40年をかけた詩集『終りなき山河』を発表したスナイダーが2002年に来日したときの模様を、貴重な映像やインタビューでつづる。特にピアノやサックスやドラムスの演奏を交えながら、一篇一篇の詩を丁寧に読んでいくスナイダーの朗読会の場面は見ごたえがある。さらにカメラは沖縄に旅をするスナイダーに同行し、聖地である斎場(せーふぁ)御嶽を歩き、地形の感触を確かめながら考察を重ねる、世界のネイチャーライティングを代表する書き手の姿をとらえていく。
EDGE SP #1 / 2003.06.07