ART DOCUMENTARY PROGRAM
スカパー! Ch.529にて放送中
東雄一朗、35歳。バンド“Flight Of Idea”のリーダーである。
バンドのコンセプトは、ポエトリー・ロック。「詩と音楽のあいだで切り開かれるもの」の探求を目指す。即興性の高い詩をロックのリズムと融合させることで、定形化したものではない、自由なことばを発信していくスタイルだ。
高校生のころから詩のノートを取っていたと語る東。大切なものについて表現することに強い関心を持ち、「自分とは何か」という問いは、つねに自身のなかにあった。そんな時に出会ったのがギンズバーグ。ポエトリー・リーディングの伝説的な人物で、日本で脚光を浴びて以後、多くの若者たちが自分たちの心情を詩のことばで朗読するようになった。そのひとりであった東も、詩を通して自分の可能性の探求を続けていく。
単純なリーディングの限界をブームのなかですでに気づいていた東は、自分の視点からあらたな詩の表現の模索を続ける。その過程において、レコード会社での安定した生活を棄て、ただストイックにポエトリー・ロックに対峙するようになった。ふたりの仲間とともに音楽を思考する“Flight Of Idea”が、東にとって今、いちばん実験的なことができる環境だ。あらたな音楽と詩の融和を生むなかで、自分をさらなる次元へと高め続ける。
自分はファールボールであり、グラウンドに入るような球ではない、と語る東。しかし、「ファール」としての挑戦がどれだけ続くか、それに賭けていくこと。「自分とは何か」を追求することとは、これまでの「自分」を刷新し続けることであるのかもしれない。
EDGE 1 #17 / 2005.05.07