ART DOCUMENTARY PROGRAM
スカパー! Ch.529にて放送中
荒ぶる海をわたり、活火山のある神津島へ。世界の果てのような海辺に、詩人・城戸朱理と野村喜和夫は降りたつ。人間のみならず生物全般を拒絶する地球の運動、ある「未知」と出逢うために。
すべてを既知と消費のシステム下におく、日本社会。全存在に名前をあたえ、人間の支配下におくことができると錯覚する、世界。詩人は「未だ名づけえないもの」、つまり未知を奪還しようとする。それは、詩によって「新しい世界を言葉のなかにつくりだす」(城戸)想像力であると同時に、「言葉そのものを名づけなおす」(野村)理知でもある。火山が文明も自然も灰燼に帰すことで、世界を新たに創造するように。圧倒的な未知の力で。
90年代前半に詩論「戦後詩を滅ぼすために」を書いた、城戸朱理。詩集『千の名前』は、アメリカ同時多発テロから東日本大震災へといたる未知をも予見する言葉だった。詩篇「災いの名」は、今日も語る。「災いに千の名があり、/名づけるたびにそれは発現する」と。
EDGE 1 #13 / 2003.06.14