ART DOCUMENTARY PROGRAM
スカパー! Ch.529にて放送中
時の流れと格闘し、その断面を切り取ろうとする『花は流れて時は固まる』(2004)、「死ぬ準備」をテーマに自身と踊りとの関係を紐解く『おたる鳥を呼ぶ準備』(2012)など、鋭敏な生理感覚と強い衝動を織り込みつつ、自己と空間、表現の根源を探り続けるダンスカンパニー、BATIK。2007年に発表された『ペンダント・イヴ』の創作過程から本番までを追った本編は、陰影に富んだ肉感的な舞台映像に、ハードな稽古風景、主宰・黒田育世のインタビューを交え、彼女らの「ダンス」が生まれる瞬間を捉えようとする。
原っぱに集う、色とりどりの衣裳をまとった少女たち。泣き、笑い、叫び、躍る身体が呼び起こすのは、遠い日の記憶。キラキラした無垢な情熱と渦巻くエロス、裏腹の恐怖、孤独……極限まで酷使され研ぎ澄まされた身体でこそ出会えた/出会ってしまった、むき出しの感覚、感情を、ダンサーたちは、戸惑いながらもまるごと受け止めていく。
「ダンスは命に似ている」と黒田はいう。舞台上の表現がどんなに激しく、痛々しく、切なく見えたとしても、その眼差しは生命/ダンスを全力で肯定しようとしている。
LIVE! EDGE #6 / 2007.07.21