ART DOCUMENTARY PROGRAM
スカパー! Ch.529にて放送中
火との出会い、遊びや宗教の発見など、人類の行く末を決定づけた瞬間を、未来や宇宙にまで達する壮大なパースペクティブの中に描いた、大駱駝艦『カミノベンキ』『カミノコクウ』(2007年)。本編は、この2作品の映像に、主宰・麿赤兒と詩人・城戸朱理との対談を交え、「天賦典式」という独自のスタイルで、舞台の闇、始原の闇に向き合い続けてきた麿の思想を解き明かそうとするものだ。
綺麗は汚い、汚いは綺麗、有は無、無は有、光すなわち影−−。世の物事の意味、価値は、常に表裏一体で、その境界線さえぼやけていると語る麿。その曖昧模糊とした様相こそ、麿が覗こうとする闇であり、舞台でかたどろうとするものだ。二つの作品はどちらも、白を基調にした明るい空間で、現代の日常を過ごすダンサーたちに取り囲まれつつ、ドレス姿の麿と一角獣が対峙する場面で終わる。架空の動物との交わり、そっとめくってみせたスカートの中に咲く色とりどりの花々はまるで、人類が誕生し、時を過ごしていくことの意味と無意味を、まるごと寿いでいるようにも見える。
LIVE! EDGE #8 / 2008.06.14