ART DOCUMENTARY PROGRAM
スカパー! Ch.529にて放送中
2006年10月、岩手県北上市の日本現代詩歌文学館で「パフォーマンス・ポエトリィ北上」が開催。藤富保男、高橋昭八郎、伊藤元之は、過激な詩的実験で北国を魅了する。
「ことばは物質である」と語り、文字をグラフィカルに分解・加工して、意味から言葉が離脱するプロセスに詩を見いだそうとした、新國誠一の「コンクリート・ポエトリー」。「カメラは失敗した一握りの詩の紙くずからも美しい詩をとりだすことができる」と観察し、活字・日用品・写真など複数の視覚メディアを交通させ、アート作品のようにデザインしながら、既成の文学や諸芸術に依存しない、詩の造形的(プラスティック)な新領土を拓こうとした北園克衛の「ヴィジュアル・ポエトリィ(視覚詩)」。
1950年代から70年代にかけ、詩と現代美術を横断し、さらに外へ越境する前衛運動として、とくに海外で熱く歓迎された。
新國と北園を継承する三詩人はいまも、当時を更新するアヴァンギャルドたろうとする。「もし世界が明るくなれば」とシュールかつユーモラスに問う、藤富保男の詩。「けつまづく」ことで、真の自己存在に覚醒しようとする、高橋昭八郎の詩。伊藤元之は「時代をくつがえす」欲求につらぬかれた詩の前衛運動を伝える。このパフォーマンス・ポエトリィを観た者は、子どものように驚き、笑い、不思議とこころが晴れ晴れとするだろう。それは〈翼ある詩〉がはこぶ、純粋なサプライズにみちた世界、との出逢いである。
LIVE! EDGE #4 / 2007.01.13