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詩人

岸田将幸

No.98 ただ生きて在るために
〜詩人 岸田将幸の原風景への旅〜

Masayuki Kishida

長年暮らした都市を離れ、愛媛県へ帰郷し、農業をはじめた詩人岸田将幸さん。
そこには新たな生き方をとおし、詩を書くことを一から問い直す詩人の姿があった。
そして、故郷から原風景へ、さらにその先へと旅にむかい、岸田さんは詩をつむぐ。
旅の果てで詩人は何を見つめるのか―

98. ただ生きて在るために 〜詩人 岸田将幸の原風景への旅〜

Director’s comment

詩人岸田将幸さんの詩と出会って以来、そして、実際に岸田さんと自身と出会って以来、岸田さんの詩の言葉や仕草、まなざしから一貫して受けとってきたものが、ぼくにはある。それは、自身の生き方と詩を書くことをわけることなく生きることの誠実な「姿勢」だ。詩を書くことで、生き方を問い、その生のただなかで書くべき詩の言葉を問う「姿勢」。
ときに言葉そのものがはちきれるばかりに緊迫し、ときに背をやさしく撫ぜるように人に寄り添う岸田さんの詩は、この「姿勢」から生じる生き方と結ばれていたのだ。
今回、岸田将幸さんのドキュメンタリーにたずさわる機会をいただき、その「姿勢」をこそこの番組にうつし出したいとおもった。
岸田さんは、およそ二年前、長年の大阪、東京での暮らしを離れ、故郷の愛媛県へ帰郷した。新聞記者の職を辞し、農家として生きてゆくこと、新たな生き方をもとめてのこの決断には、詩人としての決意がこめられていたのだ。
故郷であるこの地で、もう一度、詩を書くこと、言葉を書くことを根底から問い直すために。
現在、岸田さんが暮らす故郷の光景は、これまで幾度も詩に書かれてきた。特に詩集『〈孤絶-角〉』には、幼き日の思い出やその光景が、岸田さんの詩にとっての大切な基底であるかのように書かれていた。
今回のロケでその地を案内してもらい、岸田さんには詩を書くことで、護りたい場所、そして護りたい人の生き方があるということ、だからこそ、生き方と詩を書くことを決してわけることなく、切実に生きているのだとあらためて感じることができた。
この番組は、これまでの詩人岸田将幸の足跡と、そして現在の生き方を見つめる。故郷で、原風景の港町で、そして四国の最南端の岬で、岸田さんは何を見つめるのか。
キャメラにうつされる岸田さんのまなざしには、岸田さんが詩を書くことで何を守ろうとし、そして、どのような生き方をもとめようとしているのか、その「姿勢」が、静かに、つよく、みなぎっていた。

98. ただ生きて在るために 〜詩人 岸田将幸の原風景への旅〜
(text 菊井崇史)
岸田将幸

岸田将幸(詩人)
1979年愛媛県生まれ。
津島、今治、丹原と移る。18歳、松山。大学中退後99年上京。詩誌「早稲田詩人」などに参加する。2004年に第一詩集『生まれないために』、06年『死期盲』。ゼロ年代を切り開いた詩人の一人として注目される。新聞社に勤めながら詩作を続け、07年『丘の陰に取り残された馬の群れ』を刊行。09年『〈孤絶-角〉』で高見順賞を受賞。
16年故郷にて帰農する。他に『亀裂のオントロギー』(14年)など。

PLANNER/SUPERVISOR
城戸朱理
CAMERA
山崎裕/髙野大樹
VIDEO ENGINEER
河合正樹/武井俊幸
EED
池田聡
AUDIO MIXER
富永憲一
SOUND EFFECT
玉井実
IN COOPERATION WITH
足摺海底館/エルスール財団
ASSISTANT DIRECTOR
杉山あかね
PRODUCER
寺島髙幸/平田潤子/設楽 実
DIRECTOR
菊井崇史

EDGE 1 #32 / 2019.04.06

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