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シャーロッキアン

田中喜芳

私の愛したシャーロック・ホームズ
シャーロッキアン田中喜芳氏の愉快な週末

Kiyoshi Tanaka

「シャーロッキアン」と呼ばれるひとたちがいる。アーサー・コナン・ドイルの代表的著作であり、小説家が生み出した全世界屈指の名探偵、シャーロック・ホームズの熱烈な愛好者たちだ。かれらは作品に対しての強い愛を語りつつ、全60編のホームズ物語の一語一句から、「ホームズ学」と呼ばれるさまざまな角度からの研究を行う。
世界各国に存在するシャーロッキアンだが、本作の主人公となる田中喜芳は、まさに日本を代表するシャーロッキアンだ。高校時代にふとしたきっかけでホームズの世界に出会い、それ以来ホームズ・ワールドにのめりこんできた。ホームズ研究によって、アメリカ・ニューポート大学から客員教授として招かれたこともあるほどで、まさにその道に一家言を持った人物であるとわかるだろう。

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多くのシャーロッキアンにとってホームズは実際の人物であり、ドイルはその出版代理人に過ぎないと見なされている。田中もまたホームズが実在したという前提に立ち、自身が住む横浜をヴィクトリア朝時代のロンドンに見立て、また鎌倉で作中の事件の検証をおこなう。研究の成果をシャーロッキアンの集いで発表し、さまざまな作品への愛を共有する者たちと交わるなかで、その世界はさらに広がっていく。

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彼のいる場所そのものは、私たちが暮らす場所とはほとんど違いはないのかもしれない。しかし、そうした「日常」が一瞬で異邦の地に変貌するような感覚をおぼえるのは、ホームズ作品の魅力のみではなく、田中の“信じるもの”への、純粋な情熱の力にもまた起因しているだろう。田中の姿は、豊かに生きるとはどのようなことなのか、そうした問いすらもわたしたちに投げかけているかのようだ。

私の愛したシャーロック・ホームズ シャーロッキアン田中喜芳氏の愉快な週末
(text 若林良)
田中喜芳

田中喜芳 (シャーロック・ホームズ/コナン・ドイル研究家)
1952年神奈川県生まれ
1987年、世界で最も権威あるホームズ研究団体、ベイカー・ストリート・イレギュラーズ(BSI・米国)に、故・長沼弘毅博士に次ぎ、2人目の日本人として入会を認められる。ロンドン・ホームズ会(SHSL・英国)など、各国の研究団体に会員・名誉会員として在籍する著名なシャーロッキアンのひとり。

PLANNER/SUPERVISOR
城戸朱理
NARRATOR
長谷川真弓
CAMERA
山崎裕/戸田義久
VIDEO ENGINEER
平戸孝之/黒木禎二
CA
佐藤洋祐
SOUND EFFECT
玉井実
EDITOR
西村康弘
AUDIO MIXIER
富永憲一
ASSISTANT DIRECTOR
明仁絵里子
PRODOCER
寺島髙幸/清田素嗣・設楽実
DIRECTOR
平田潤子

EDGE 2 #26 / 2007.05.19

2024.02.17(土) 08:00-08:30 放送 (スカパー! 529ch)