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フルクサス芸術家

靉嘔/塩見允枝子

福井フルクサス

Ay-O/
Mieko Shiomi

美術におけるイヴェントとは、いかなるものなのか。多くの人にとって、ライヴときいたとき、音楽やダンス、演劇、朗読ならば、そこでどのようなパフォーマンスがおこなわれるのか見当はつくだろうが、美術のパフォーマンス、イヴェントとなると、それがいかなる体験になるのかを想像することは難しいかもしれない。しかし、一九六〇年代、発生当初からイヴェントを重視し、既成の表現活動にとらわれず、芸術のアクションの可能性をひらいてきた運動がある。それが「フルクサス」だ。本作は、「フルクサス」の活動に深くコミットした靉嘔、塩見允枝子に迫ったEdge二篇を織りまぜながら、「福井フルクサス」のイヴェントのようすをうつし出してゆく。

福井フルクサス

真のアヴァンギャルドとはなにかを探求すべくニューヨークに渡った靉嘔は「フルクサス」の活動に参加し、塩見允枝子もまた、視覚、聴覚といったひとつのかたちにとらわれない流動的な感覚をよび醒ます作品を発表するなかで、「フルクサス」に出逢う。日常と芸術の閾をうちやぶり、幾つものジャンルを横断する表現に共鳴したのだ。当時から、観衆をまきこみ展開する「フルクサス」にとり路上は、ひとつの劇場だった。ハプニングと異なり、「フルクサス」のイヴェントは、作者がコンセプトと手法を記した「スコア」をもとに上演される。「福井フルクサス」では、オリジナルメンバーや、当時のイヴェントを直接には見たことがないという「フルクサス」第二世代の作家がまねかれ、その場にいあわせた観客と共に、残された幾つかの「スコア」を上演してゆく。

福井フルクサス

靉嘔と塩見に共通する作品づくりへの意志は、既成の価値や認識にしばられない視座の発見の重要性だ。作品は完結の状態ではなく入口なのだ、そう靉嘔は語った。そして、彼女彼らが実践しつづけたライヴ、イヴェントもまた、体験をとおして、参加したそれぞれの人を新たな視座へ導くための入口なのだ。

福井フルクサス
(text 菊井崇史)
靉嘔/塩見允枝子

靉嘔 (美術家)
1931年茨城県生まれ
1950年代にデモクラート美術家協会に参加した後、1958年にニューヨークに渡り、フルクサスに参加。「フィンガー・ボックス」など、人間の五感に訴える作品や周囲の環境を取り込んだインスタレーションを発表。1966年、ヴェネチア・ビエンナーレでの発表等を経て、「虹のアーティスト」として国内外で知られるようになる。2012年には東京都現代美術館(および広島市現代美術館)で「靉嘔 ふたたび虹のかなたに」展が開催された。

靉嘔/塩見允枝子

塩見允枝子 (作曲家)
1938年岡山県生まれ
東京芸術大学在学中の1961年に、小杉武久、水野修孝らと「グループ・音楽」を結成し、イベントと即興演奏にとりくむ。64年ニューヨークへ渡り、フルクサスに参加。「エンドレス・ボックス」などを発表する。以来、イベント、インターメディア、パフォーマンス、室内楽、視覚詩など、活動は多岐にわたっている。

PLANNER/SUPERVISOR
城戸朱理
NARRATOR
渡辺美佐
CAMERA
橋添憲司/宮内文雄/中村健/馬場宏子
VIDEO ENGINEER
鈴木研二/黒木禎二/高津富士男
CA
平林聡一郎
EDITOR
小俣孝行
AUDIO MIXIER
吉田一明
ASSISTANT DIRECTOR
明仁絵里子
PRODOCER
寺島髙幸/清田素嗣・設楽実
DIRECTOR
狩野喜彦

LIVE! EDGE #3 / 2006.11.11

2024.02.17(土) 08:00-08:30 放送 (スカパー! 529ch)