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作曲家

武智由香

未だ来たらざる音に

Yuka Takechi

学生時代からその天才ぶりを遺憾なく発揮していた作曲家・武智由香。芸大を首席で卒業し、その後サントリー音楽賞、村松音楽新人賞などを受賞。現在は英国王室音楽院博士課程に在学中である。
本作は武智に、英国王室音楽院およびアメリカの名門音楽院・ジュリヤード音楽院から室内オーケストラ曲の作曲が委嘱されたところからはじまる。演奏場所はニューヨーク・リンカーンセンターと、英国王立音楽院。アメリカ、イギリスそれぞれの、まさに音楽の殿堂とも言える会場である。それだけに武智もまた、さらなる高みへと登りつめることがもとめられた。彼女ははたして、どのような音を作りあげるか。

未だ来たらざる音に

作曲のため、夏休みを利用して生まれ故郷の鎌倉に帰省する武智。すでに世界的な知名度をもつ彼女だが、たとえばロンドンであじさいを見た際には、今ごろ日本のあじさいは開花したころだろうか、と故郷を想い出すことも多いという。いわば鎌倉は自身の原点の場所であり、鎌倉で自身を見つめなおしながら、自身の「音」の原点をも見出していく。

未だ来たらざる音に

「音に対して、ものすごい素直に」取り組んでいると語る武智。西洋音楽の既成の概念にとらわれることなく、自身の耳をつうじて聴きとった音を、自身の音楽として再構成していく。いうなれば、世界に存在する数々の音を鋭敏にくみ取っていき、それらをもとあった場所へ――世界へとあらたに響かせていくのだ。楽譜に書かれたものは、それ自体は単なる「情報」に過ぎないが、武智の手によって「音楽」として放たれるとき、わたしたちは生命の誕生を見たかのような感動につつまれる。そして、次なる「未だ来たらざる音」をもとめて、武智の挑戦は続いていく。

未だ来たらざる音に
(text 若林良)
武智由香

武智由香 (作曲家)
鎌倉生まれ
東京藝術大学作曲科首席卒業、大学院修了後、ボストン交響楽団タングルウッド音楽祭フェロー作曲家、ジュリアード音楽院、文化庁在外派遣員としてフランス国立音楽音響研究所IRCAMで研鑽を積み、英国王立音楽院でアジア人初の博士号取得する。作品はカーネギーホール、リンカーンセンター、ボストン交響楽団、新日本フィル他、国内外の主要な音楽祭・演奏家により委嘱演奏されている。米国コロンビア大学委嘱「Indra’s Net」(2012)、神奈川国際芸術フェスティバル委嘱「声明と雅楽 西行マンダラ」(2007-09)など伝統楽器の作品も数多い。

PLANNER/SUPERVISOR
城戸朱理
NARRATOR
大場真人
CAMERA
水野宏重
CA
池田昌史
AUDIO/VIDEO ENGINEER
石井有生/新垣直哉
EDITOR
池田聡
AUDIO MIXIER
森英司
ASSISTANT DIRECTOR
松浦桃子
PRODOCER
寺島髙幸/清田素嗣・設楽実
DIRECTOR
狩野喜彦

EDGE 2 #18 / 2004.11.27

2024.02.17(土) 08:00-08:30 放送 (スカパー! 529ch)