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詩人

平田俊子

詩人は、死人?
〜平田俊子の世界〜

Toshiko Hirata

「お花畑に猿がなる」「薔薇の花が散って蛾になる瞬間を何度も見た」……80年代「ラッキョウの恩返し」でデビューした平田俊子。どこか別の世界から投げつけられたような言葉は、本人曰く「向こうから飛んできたのをキャッチした」ものだと言う。彼女は一体、どこでその言葉をつかんでいるのだろうか? ともすればこの詩人は「死人(しびと)」として、この世とあの世の境目にいるのかもしれない。

詩人は、死人? 〜平田俊子の世界〜

時折8ミリフィルムの映像を交えるカメラは、平田と共に東京の片隅をさまよう。現実の彼女は「明るい昼間は身の置き所が無い」といい、人々の寝静まった深夜、自宅近くの散歩で言葉を拾っているのだった。どうしても破綻してしまう、人並みの生活。親しいひとと真正面から向き合うと、互いに傷つけあい、心がしわくちゃになる。そのしわを伸ばすための、詩作。暗がりから出たくないと思いながらも、舞踏家と舞台で共演し、言葉をぶつける相手を探している。

詩人は、死人? 〜平田俊子の世界〜

「死人」は墓地に佇み、肉体が消えゆくことの清々しさを語りながら、自分が生まれる前と死んだ後の時間に思いを馳せる。電柱や鉄塔など、人知れず傍らに立ち仕事をしているものへの愛を語り、「死者を運ぶ棺桶のような」観覧車の中で、自作の詩編『ターミナル』の一節を詠みながら、「詩人」の彼女は呼びかける。「私の名前は平田俊子です。貴方の名前を教えてください」と。今日も平田はこの世から少し離れたところで、ひとを恋しく思っているのだった。

詩人は、死人? 〜平田俊子の世界〜
(text 佐藤寛朗)
平田俊子

平田俊子 (詩人)
1955年島根県生まれ
1983年、「鼻茸について」で第1回現代詩新人賞受賞。『戯れ言の自由』(2015年)で第26回紫式部文学賞受賞。

PLANNER/SUPERVISOR
城戸朱理
語り
仲代奈緒
CAMERA
中村健
CA
藤平香子
EDITOR
池田聡
AUDIO MIXER
森英司
SOUND EFFECTS
玉井実
AD
外山竜大
PRODUCER
寺島髙幸/大伴直子・設楽実
PRODUCTION MANAGER
清田素嗣
DIRECTOR
福本浩

EDGE 1 #7 / 2002.02.09

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