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作曲家

武智由香

西行マンダラ

Yuka Takechi

2007年5月、神奈川国際芸術フェスティバルの一環としておこなわれた「聲明 西行マンダラ」のコンサート。天台・真言両派の僧侶による唱和と、日本を代表する雅楽・伝統楽器奏者の演奏が、満席の聴衆を魅了した。

西行マンダラ

この作曲を手掛けたのが、国際的な知名度も高い作曲家・武智由香だ。基本的な題材としては「Edge2」で放映された『時をつなぐ音の架け橋』と同じであるものの、本作は武智の内面というよりも、現代の音楽家、僧侶たちの唱和、そしてかつての西行の思想のハーモニーから生まれるもの――「音楽」という名の生きものをこそ、作品における主人公ととらえているかのようだ。一般的な意味あいで言えば、音楽とは、本来は作曲にくわえ、音楽監督もつとめる武智の創作物にすぎないものかもしれない。しかし、本作では、いわば産みの母でもある武智の手を離れ、独立した生命として空に舞う音楽のすがたにこそ、感嘆をおぼえることとなるのだ。

西行マンダラ

音楽のいのちとは、あるいは、輪廻転生のようなものであるのかもしれない。古来より存在する自然のすがたに共鳴を覚えた西行の思想、また聲明という表現から、現代の作曲家である武智が「何か」を受けつぎ、かつての生命が、いまを生きるわたしたちのもとへとふたたびよみがえってくるかのような。こうして生まれた生命の連環は、これからはどのようなかたちで受けつがれていくのだろうか。本作が提示したものはコンサートの「終わり」までの道のりというよりも、むしろ「はじまり」であるのかもしれない。

西行マンダラ
(text 若林良)
武智由香

武智由香 (作曲家)
鎌倉生まれ
東京藝術大学作曲科首席卒業、大学院修了後、ボストン交響楽団タングルウッド音楽祭フェロー作曲家、ジュリアード音楽院、文化庁在外派遣員としてフランス国立音楽音響研究所IRCAMで研鑽を積み、英国王立音楽院でアジア人初の博士号取得する。作品はカーネギーホール、リンカーンセンター、ボストン交響楽団、新日本フィル他、国内外の主要な音楽祭・演奏家により委嘱演奏されている。米国コロンビア大学委嘱「Indra’s Net」(2012)、神奈川国際芸術フェスティバル委嘱「声明と雅楽 西行マンダラ」(2007-09)など伝統楽器の作品も数多い。

PLANNER/SUPERVISOR
城戸朱理
NARRATOR
大場真人
CAMERA
水野宏重/世良隆浩
AUDIO
渡辺丈彦/井上久美子
VIDEO ENGINEER
池田昌史
CA
井之上大輔
EDITOR
小俣孝行
AUDIO MIXIER
吉田一明
ASSISTANT DIRECTOR
明仁絵里子
PRODOCER
寺島髙幸/清田素嗣・設楽実
DIRECTOR
狩野喜彦

LIVE! EDGE #7 / 2007.09.01

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