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詩人

オールナイトポエトリーリーディング

第二部 3.11後の言葉とは

All Night Poetry Reading

2011年3月5日夜に「ワタリウム美術館」で行われた「オールナイトポエトリーリーディング」。東日本大震災発生のちょうど5日前だった。第二部では、飛び入りも含めて、いわゆる詩壇とはちょっと異なる様々な人々の朗読が、更けゆく夜に反響する。

第二部 3.11後の言葉とは

留学生、マユ・サーリッツア。フィンランドの著名な詩人である父の詩集を手に、その一節を朗読する。父を意識し避けていた詩作だが、震災後は、自ずと自分の言葉をノートに書き留めるようになった。
春まで警備員を勤めていた竹田幸助。長く詩作から遠ざかっていたが、退職を機に臨んだ、久々の朗読会。あえて昔の作品を詠み、現代の空気への反応を確かめる。
“収斂したがる”を朗読したのは、25歳の齋藤千尋。就職後、毎日の仕事で遠くなりつつある感覚を取り戻すために、あえて処女作を詠んだ。そして、震災後に生じたこれまでとは違う感覚を、いま再び言葉に綴りはじめている。
俳人・生野毅の「友人」として紹介された菊井崇史。2年前、人生の暗闇をさまよっていた時期に詩と出会い、溢れる言葉を撮り溜めた写真と併せ一冊の本にまとめた。今は存在の“かけがえのなさ”に対し、誠実に投げかけられるような言葉を探し続けている。
若手の実力派詩人・文月悠光。まだ大学1年生だったこの夜、生まれて初めて夜通しのイベントに参加した。その興奮を思い出しながら、震災で揺さぶられてもなお残る、自身の書き続ける決意の強さを口にし、新作を披露する。
童話のようで、ニヒリズムが漂う作風の石川厚志。臨床心理士として、精神科のセラピーで患者と共に書き留めた言葉たち。これまで徹底して不条理や虚無をテーマに据えてきたが、震災後は、家族と共にある日常に興味が向いてきたという。
午前2時に登場したブリングルは、3児の母だ。6年前、3人目の子どもが1歳になった夜、ふと自分に生まれた余裕が彼女を詩作に向かわせた。今も日常の瞬間に収まる“お守り”のような言葉を携帯電話に書き留め、貪欲に詩を綴り続ける。

第二部 3.11後の言葉とは

司会と大トリを勤めたのは、松本秀文。パンクな詩で場を圧倒し、夜を締めた。東北から離れた福岡に住む彼にとっての、あの夜。「震災後」という言葉が生まれたその後の状況に対し、「震災以前」の言葉の波をしっかり記録に留めた―—松本はそう総括する。

第二部 3.11後の言葉とは

あの夜、朗読に立った幾人もの詩人たちの、3.11後の日常がオーバーラップする。東日本大震災は、激変する風景の中に不安を生み、多くの人々の日常を揺さぶった。詩人もまた、「言葉に何ができるのか?」の問いを、日々の営みの中で反芻せざるを得なくなった。しかし、生きている限りは己の現実と向き合い、言葉との関わりを模索し続ける。それが詩人というものだ。震災から2年を機に作られた本作は、こうした詩人の“生そのもの”を記録した、貴重な映像記録である。

第二部 3.11後の言葉とは
(text 佐藤寛朗)
PLANNER
城戸朱理
NARRATOR
中村優子
STAGE PART (CAMERA)
宮内文雄/浮田清治/堀越希美恵
STAGE PART (VIDEO ENGINEER)
大場雅一
DOCUMENTARY PART (CAMERA)
髙野大樹/戸田義久/山崎裕
DOCUMENTARY PART (VIDEO ENGINEER)
黒木禎二/山根則行/野澤勝一
DOCUMENTARY PART (CA)
松村 敏行/池田 健/松浦 祥子
EDITOR
鈴尾啓太
EED
池田聡
AUDIO MIXER
富永憲一
MUSIC
松本章
AD
熊田草平
PRODUCER
寺島髙幸/清田素嗣
DIRECTOR
平田潤子

LIVE! EDGE #10 / 2013.03.23

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