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詩人

吉増剛造

怪物君
〜詩人・吉増剛造と震災〜

Gozo Yoshimasu

2011年3月11日。東日本大震災と巨大津波は、詩人から言葉を奪った。
そして、吉増剛造は大震災直後から、東北の被災地に通い続けてきた。みずからの内なる廃墟を見つめるために。
福島第一原発が見える南相馬にたたずみ、「この景色を心が納得していないんだ」と語る詩人。
詩の言葉は動かないまま、吉増剛造は、白紙に自ら罫線を引き、米粒のように小さな文字で、戦後を代表する詩人にして思想家、吉本隆明の著作を書き写し始める。

怪物君 〜詩人・吉増剛造と震災〜

「詩の傍で」と題されていた、その未知なる言語態は、やがて「怪物君」と名を変え、百枚、二百枚と集積されていく。
吉増は、いつも「怪物くん」の束を携え、旅に出ては、謎めいた音響を紙に書き留めていく。音と意味の奇跡のようなコレスポンダンス。
大震災後、吉増は五十年書き続けてきた日記を書くことを止めたという。書くことを止めて、気づいたのは日記という制度に囚われていたということ。詩もまた、詩という制度から解放されなければならないのではないか。

怪物君 〜詩人・吉増剛造と震災〜

未踏の領域に歩み入る詩人の姿。
吉増は「詩の傍で」の原稿を金槌で叩き、インクをたらし、一枚の紙は、次第に時間の層を成していく。六百枚を超えたとき、それは、もはや原稿ではなく、絵画のような厚みを持つものになっていた。
福島県南相馬市。浪江。住民は避難して人影のない街。時間さえ止まったかのような浜辺に立って、吉増剛造は、変容してしまった景色と言葉に向かい合う。
風が吹き、詩人のコートがひるがえる。吉増剛造は、世界に触り続けるように、言葉を刻んでいく。

怪物君 〜詩人・吉増剛造と震災〜
(text 城戸朱理)
2017年山形国際ドキュメンタリー映画祭
Cinema with us 部門にて上映
https://www.yidff.jp/2017/program/17p7.html
10月28日 21時~22時にスカパー!でも再放送決定
吉増剛造

吉増剛造 (詩人)
1939年東京府生まれ
1964年詩集『出発』でデビュー。初期の代表作『黄金詩篇』は第 1 回高見順賞を受賞。半世紀以上詩壇で活動を続けている。

PLANNER/SUPERVISOR
城戸朱理
NARRATOR
伊藤憲
CAMERA
夏海光造/水野宏重
VIDEO ENGINEER
早坂君男/池田昌史
CA
井之上大輔/染谷有輝
EED
池田聡
AUDIO MIX
富永憲一
AD
熊田草平
PRODUCER
平島進史/寺島髙幸
DIRECTOR
伊藤憲

EDGE SP #17 / 2016.04.23

ベターライフチャンネル(スカパー! Ch.529)
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