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フルクサス芸術家

靉嘔

前衛であることⅡ
~虹のアーティスト靉嘔とフルクサスの歩み~

Ay-O

二〇〇六年、靉嘔の回顧展『虹のかなたに』が開催された。館内を埋め尽くすように虹の色彩が掲げられた展覧会のようすを足掛かりに、「虹のアーティスト」の軌跡をドキュメントは辿る。鑑賞するためだけの芸術作品には興味がない、作品は完結ではなく入口なのだ、そう語る彼の絵画、パフォーマンスにとどまらない、多岐に渡る表現へのアプローチは、「フルクサスの歩み」の現在地なのだ。

前衛であることⅡ ~虹のアーティスト靉嘔とフルクサスの歩み~

戦後の画壇に生じた前衛芸術の潮流に作家として出発した靉嘔は、子供のイノセントな創造性を尊重する「創造美育運動」にも力をそそぎ、芸術の権威主義を否定した。一九五〇年代ニューヨークに渡った彼は、現地の作家と交流を深めながら真の前衛を探求しつづけ、一九六〇年代に起きた「フルクサス」の活動にくわわる。オノ・ヨーコやナム・ジュン・パイクら世界中のアーティストと共に、日常と芸術の垣根、ジャンルにとらわれない表現をうみだしたのだ。ジョン・ケージの「4分33秒」に衝撃を受けたという発言や当時をふりかえる靉嘔の証言は、彼らが生きた時代の熱を伝えてやまない。半世紀以上におよぶ軌跡のなかで、具象の絵としては数少ない両親を描いた肖像画や、書斎のふすまに描かれ美術館では見ることのできない作品が靉嘔自身の解説とともにうつされるシーンも、貴重な瞬間だ。

前衛であることⅡ ~虹のアーティスト靉嘔とフルクサスの歩み~

独自の表現のありかたを試行した結果、信じることができたのは色だった、彼は「虹」を摑みだしたきっかけを告げる。「虹」は、靉嘔にとってのアヴァンギャルドの証だ。今までにない視座を見つけ出すことが重要なのだ、必ずしもアートでなくてもかまわない、ポリティカルなものでも、人の生きかた考え方でもいいのだと彼は語る靉嘔の、いわゆる美学ではなく、生き方に直結するまなざしは、だからこそ、芸術という枠をこえて訴えかけるのだ。

前衛であることⅡ ~虹のアーティスト靉嘔とフルクサスの歩み~
(text 菊井崇史)
靉嘔

靉嘔 (美術家)
1931年茨城県生まれ
1950年代にデモクラート美術家協会に参加した後、1958年にニューヨークに渡り、フルクサスに参加。「フィンガー・ボックス」など、人間の五感に訴える作品や周囲の環境を取り込んだインスタレーションを発表。1966年、ヴェネチア・ビエンナーレでの発表等を経て、「虹のアーティスト」として国内外で知られるようになる。2012年には東京都現代美術館(および広島市現代美術館)で「靉嘔 ふたたび虹のかなたに」展が開催された。

PLANNER/SUPERVISOR
城戸朱理
NARRATOR
渡辺美佐
CAMERA
橋添憲司/宮内文雄/馬場宏子
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EDITOR
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AUDIO MIXIER
吉田一明
ASSISTANT DIRECTOR
明仁絵里子
PRODOCER
寺島髙幸/清田素嗣・設楽実
DIRECTOR
狩野喜彦

EDGE 2 #23 / 2006.06.24

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