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詩人

野村喜和夫

その、無限にそこ

Kiwao Nomura

詩人・野村喜和夫はだれも行かない場所へ行く。渋谷センター街は通過し、「国木田独歩住居跡」の杭へ。原宿のブティックは通過し、巨大で蒼古な給水塔へ。無限に無名で無用な「そこ」へ。
野村は自身を「彷徨派です」と語る。彷徨派?そんな文学派があるはずもなく、撮影スタッフをひきつれた詩人は、「われわれができるのは、外をぐるぐる歩きまわることだけです」と、楽しげだ。書斎は詩を行にする工房であり、言葉と肉体が外出しなければ詩とは出逢えない。歩行は、めまいに、やがて言葉のダンスになる。

その、無限にそこ

鉄塔と電線が彩る曇天のグレーゾーンへ、コートを翻す詩人は無人の東京を独歩する。景勝やグルメや感動なんかは通過して。むしろ、灰色のさまよいをひきのばす不思議な欲望に感電したくて。徹頭徹尾なにもおこらないこのフィルムは、ゆえに、言葉と歩行だけでつむがれる無限のセンチメンタル・ジャーニーへ、つれだす。

その、無限にそこ
(text 石田瑞穂)
野村喜和夫

野村喜和夫 (詩人)
1951年埼玉県生まれ
1987年に第一詩集『川萎え』を発表。詩集『特性のない陽のもとに』で、第4回歴程新鋭賞受賞。

PLANNER/SUPERVISOR
城戸朱理
ナレーション
南加絵
CAMERA
木村重明
SOUND
桑原伸行
CA
有本竜
EDIT
池田聡
MA
吉田一明
MUSIC
玉井実
AD
長谷川賢吾
PRODUCER
寺島髙幸/大伴直子・設楽 実
PRODUCTION MANAGER
清田素嗣
DIRECTOR
井上春生

EDGE 1 #1 / 2001.05.12

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