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詩人/舞踏家・振付家

吉増剛造/笠井叡

あの日。名づけ得ぬものに向かって

Gozo Yoshimasu/
Akira Kasai

大地震と津波で2万人近くが亡くなる事態となった東日本大震災。それから2年が経とうとしていた2013年2月、岩手県北上市にある日本現代詩歌文学館において「歌と舞の新しい頁」というイベントが開催された。50年にわたって現代詩の最前線をひた走ってきた詩人の吉増剛造と、現代の舞踏を代表するダンサーである笠井叡が、詩の朗読とダンスがパフォーマンスで競演し、大震災という災厄と向きあうイベントである。

あの日。名づけ得ぬものに向かって

吉増剛造はカメラの前で「震災のあと、陸前高田の入り口まで行ったが『お前にはこれ以上先に進む権利がない』という内なる声を聞き、引き返してきた」と語る。そして、この大災厄に言葉で向きあうために、出版することなく毎日原稿用紙に文字を書きつける、300枚以上におよぶ「詩の傍で」の執筆をはじめた。一方、「死者がわたしの体を動かしている」という確信を持つと語る笠井叡。子供の頃に海難事故で亡くなった判事の父親は、いつも書斎で判決文を書いていた。父の死後、小学5年になったとき、自分の手が勝手に文章を書き記す「お筆先」の現象が自分の身に起きるようになったという。岩手県遠野の河童淵で自作を朗読する吉増剛造。陸前高田の海岸で何かに憑かれたように踊りだす笠井叡。各人がそれぞれの方法で、大震災という「名づけ得ぬ出来事」と対峙していく。

あの日。名づけ得ぬものに向かって
(text 金子遊)
吉増剛造/笠井叡

吉増剛造 (詩人)
1939年東京府生まれ
1964 年詩集『出発』でデビュー。初期の代表作『黄金詩篇』は第 1 回高見順賞を受賞。半世紀以上詩壇で活動を続けている。

吉増剛造/笠井叡

笠井叡 (舞踏家・振付家)
1943年三重県生まれ
1960年代に土方巽、大野一雄と親交を深め、数々のソロ舞踏公演を行う。70年代天使館を主宰し、以来多くの舞踏家を育成。2014年『日本国憲法を踊る』により芸術選奨文部科学大臣賞舞踊部門受賞。

PLANNER/SUPERVISOR
城戸朱理
NARRATOR
伊藤憲
CAMERA
水野宏重/川口慎一郎/平林聡一郎
VIDEO ENGINEER
井之上大輔/田辺公一
EED
池田聡
AUDIO MIX
三木多聞
SOUND EFFECT
玉井実
AD
熊田草平
PRODUCER
平島進史/寺島髙幸
DIRECTOR
伊藤憲

EDGE SP #14 / 2013.09.21

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