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俳人

関悦史

《現実界(レエル)》のほかに俳句なし
〜俳人・関悦史の世界〜

Etsushi Seki

俳壇の郊外からいま、怪物が進撃しつつある。俳句といえば、日本の古き良き伝統文化と考える人にとって、関悦史は日本庭園を踏みにじるゴジラに等しい。この番組では、「平成の怪物」と評される関の作句活動に、はじめてカメラが肉薄している。
東日本大震災で建造物の倒壊などの被害を受けた関。被災状況を証明する書類を届けに行った土浦の役所で見た桜は、白けて見えたという。

《現実界》のほかに俳句なし 〜俳人・関悦史の世界〜

呆けゐて死なざりしかば花うるさし 悦史

「花うるさし」の一語に込められた、伝統美へのアイロニー。関は、日本美の代表ともいえる桜も、風流とは程遠い観点で俳句に詠む。
あるいは、同世代の仲間と動物園に出かけていき、レストランのテーブルの上に短冊を並べてバラバラの言葉を無作為につなぎあわせてゆく関の姿は、宗匠帽をかぶって桜の木の下で短冊に筆を走らせる俳人の姿と、どれほど隔たっていることか。俳句を「悪ふざけ」と称し、「イタズラをしかける」気持ちに近いと言う関。子供の頃に負った脊椎の怪我のために労働に従事することがかなわない関にとって、

《現実界》のほかに俳句なし 〜俳人・関悦史の世界〜

地下道を蒲団引きずる男かな 悦史

の「男」は、世外の徒である自画像でもある。彼にとって、この世はすべて異界。スーパーで買ってきた惣菜をかきこみ、旧式のノートパソコンに「メモ帳」機能で書きつける句は、伝統的な季語から現代風俗までを対象とし、哲学や芸術用語も織り交ぜ、まさに混沌の現代社会そのものの写し絵なのだ。

《現実界》のほかに俳句なし 〜俳人・関悦史の世界〜
(text 高柳克弘)
関悦史

関悦史 (俳人)
1969年生まれ
句集『六十億本の回転する曲がつた棒』『花咲く機械状独身者たちの活造り』。評論集『俳句という他界』。共著『新撰21』他。

PLANNER
城戸朱理
NARRATOR
平田潤子
CAMERA
髙野大樹/山崎 裕/松浦祥子
AUDIO
門脇妙子
CA
松村敏行/池田健
EDITOR
鈴尾啓太
EED
池田聡
AUDIO MIXER
富永憲一
SOUND EFFECT
玉井実
AD
熊田草平
PRODUCER
寺島髙幸/平島進史
DIRECTOR
平田潤子

EDGE 2 #34 / 2013.03.09

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